2016年度設計系授業参考作品
*1年次設計演習授業
建築デザイン1・同演習(春・水3−4・1セメスター)
◎小沢朝江・加藤仁美・十亀昭人・伊藤喜彦・番場俊宏・田島芳竹・吉田美樹・藤田大海・金子哲也・平本玲
小空間の設計
建築デザイン2・同演習(秋・水3−4・2セメスター)
◎渡邉研司・加藤仁美・十亀昭人・伊藤喜彦・野口直人・番場俊宏・彦根明・井上玄・森屋隆洋・明野岳司
価値の転換 「コト」から生まれる「場」
皆さんは「照明のデザイン」「線材の構成」の課題を通じて、単にかたちをデザインするだけではなく、「デザインという操作」によってそれがどのような効果を生むのかを学びました。また「図面の表現」の課題で、スケールのある空間を人に伝えるための手法を学んでいます。
本課題ではその集大成として、現実の場所とデザインの方法を自ら設定し、デザインによって生まれる効果を想定します。そして提案した内容を人に伝えるためのプレゼンテーション能力を身につけることを目的とします。
皆さんは生活の大半を東海大学湘南キャンパスで過ごしています。自分が普段使っているキャンパスを注意深く観察し、気になった場所や状況に対してどのように感じているのか「自分」で評価してください。周囲の人たちがどう思っているかより、まずは自分自身の感覚を大事にしてください。
こちらから提示する「コト」が可能な場を計画してください。単に「コト」が可能な場をつくることが目的ではなく、「コト」が起きることでその場所が変わり、場のもつ価値が増幅するような提案をしてください。場所はキャンパス内であれば自由です。提案の規模や方法は何でもよいですが、その場所だからこそできることが望ましいです。最小限の操作で最大限の効果を生むような提案を期待しています。
*2年次設計演習授業
建築デザイン3・同演習(春・木3−4・3セメスター)
◎杉本洋文・山﨑俊裕・小沢朝江・井上玄・岡田公彦・白子秀隆・篠崎弘之・野口直人・彦根明・山口紗由
都市のリビング
自分の住まいの範囲は?
諸君の多くが住んでいると思われるワンルームマンションは、玄関という狭い廊下兼ミニキッチン、トイレとお風呂のユーティリティユニット、寝室、小さなクローゼットと小さな洗濯機によって構成されている。ただ生きるためだけには過不足ない機能が最小限の面積によってまとめられた空間である。
しかし私たちは、より豊かな生活をするために都市にちりばめられた機能を、まるで自分の家のように使うことによって生活を成立させている。ある時は近所で食事をし、カフェで勉強をして、ランドリーで洗濯し、大学で夜を徹して模型をつくる。時には部屋着のまま、化粧をしないまま、まるで自分の部屋にいるように近所のコンビニへ行くなど、自分の家を拠点としながら都市に私的なテリトリーを広げているのではないだろうか。
本課題では、自分の居場所と思える都市のリビングを考えてほしい。それはただ単に私的な空間が露出するだけではなく、複数の私的な空間が重なり合うことによって、これまでとは違った地域におけるコミュニティの創造を期待するものである。
都市のリビングとは、あなたの空間であって、あなただけの空間ではない、都市に住まう人のための広場のような場所であり、これまでの公民館や集会場などが担ってきた地域の拠点を補いつつ、日常生活の一部として機能する場所の提案を求む。
■敷地条件
敷地は東海大学前駅から本学の通学路中程に位置する
■設計条件
規模:75㎥程度
階数:自由(地階は不可)
構造:自由
■要求諸室
・カフェ、キッチン、イベントスペースなど必要と考えられるもの
・トイレ(多目的トイレ)
・エントランス・通路・管理スペースなど適宜
・屋外空間も設計すること
自然とすごすセカンドハウス
2011年の東日本大震災は私たちに自然環境との関わり合い方を再考させる出来事でした。地震や津波など地球の動きが人間の生活に与える影響の大きさをあらためて実感するとともに、私たち自身も自然の大きな循環の一部であるということを認識しながら生活していく必要があるでしょう。
今回、大学にほど近く、豊かな自然に囲まれた金目川沿いに計画敷地を設定し、自然と過ごすセカンドハウスを設計します。みなさんは各自敷地や周辺を散策し、その場所の環境を体感してください。時間や天候の異なる時に再度訪れてみるのもよいでしょう。
そして、光、風、空気、空、月、星、雨、川、天候、地形、土、樹木、草、鳥、微生物、例えば上記のような、敷地内にあるもしくは敷地内で感じることが出来る自然の要素を各自一つ選び、その自然と深く関わりあう建築の姿を考えてみます。その自然の要素が人の生活にどのような豊かさ、恵み、発見をもたらすのか、あらためて感じることができるような住宅を設計してください。また、建築とそこで営まれる人の生活が、自然の要素に対してどのような影響を及ぼすのか、そこから設計を考えてみるのもよいかもしれません。
古来、建築は自然環境から人間を守るシェルターとして生まれ、発展してきたといえるでしょう。これからの時代を見据えた、新しい自然との関わりあい方を実現する住宅を考えてください。
■敷地条件
神奈川県平塚市南金目
敷地北西に前面道路。その向かいに金目川が流れる緑あふれる土地。
敷地内の樹木を活用しながら計画すること。
■設計条件
敷地面積:300㎡
延べ床面積:120㎡前後(駐車場、屋外スペースは面積に含まない)
絶対高さ:12m以下
構造・階数:自由
■家族構成
夫婦(50代)+子供(大学生)1人
夫:ウィークデーは東京で会社勤務。老後も見据え生まれ育った地域であるひらつかに計画地を購入。
週末等をセカンドハウスで過ごし、書斎で仕事をすることもある。
妻:パートタイムで働きながら週末に趣味と実益を兼ねた陶芸等の制作活動をセカンドハウスで行う。
子供:東京で一人暮らし。数人の友人と時折セカンドハウスを訪れる。
24×365×10 -24時間365日のみんなのリビングをつくる、10人の住まいとして-
第1課題では、都市のリビングとは何かを考えてみました。東海大学のすぐ近く、馴染みのある街のよく知る場所で、郊外と言える比較的のんびりとした環境の中にどういったものが、みんなの都市のリビングになり得るかを考えてみました。
第2課題では、自然と過ごす住まいとは何かを考えてみました。これも東海大学のすぐ近く、豊かな自然に囲まれた環境の中で、ある一つの家族にとっての住まいはどういったものがいいのか、快適なのかを考えてみました。
第3課題では、その2つを合体させたものを、都市の中で考えてみます。場所は横浜、横浜市中央区です。この場所にみんなのリビングを持った住居を考えます。この場所は、オフィスビルや飲み屋街、昔ながらの住宅街、都市公園など、様々な街の顔に面している場所です。こういった街のための、みんなのリビングはどういったものか、そこに住むということはどういうことかを考えてみます。今までと大きく違うのは、場所が都市のど真ん中であるということです。横浜の中でも一番といっても良い一等地です。そういった場所に住むということは、とても体力が必要です。だから24時間365日フル稼働する、みんなのリビングとなる場所を住みながら作ります。
朝に出勤・通学する人にとって、昼にゆっくり過ごしたい人にとって、夜中に静かに過ごしたい人にとって、様々な時間と人にとってのリビングを考えます。平日と休日では、また、人が、時間が変わります。フル稼働するということは、設計する場所すべてがフル稼働するということです。例えば、夜は住まいとしての寝室だった場所が、昼にはショップやカフェになったりといったように、それぞれの場所は部屋としての機能に固定されずに、全体を隅々まで使ってフル稼働するということを考えてみましょう。
従来の時間軸、機能性、部屋の役割といったものに囚われずに自由な発想で、新しい価値観をもったコンビニエンスストアのような、みんなのリビングがある住まいを提案してください。
■設計条件
敷地住所:横浜市中央区
敷地面積:600㎡
建ぺい率:60%(最大360㎡)
容積率:300%(最大1,800㎡)
最高高さ:制限ナシ
要求面積:350㎡以上
構造及び階数は自由
10人程度が住むこと、その構成は自由
敷地内に人々が集まれる広場をつくる ※広さは自由
建築デザイン4・同演習(秋・木3−4・4セメスター)
◎吉松秀樹・渡邉研司・山﨑俊裕・河内一泰・白子秀隆・田島芳竹・古見演良・山縣洋・山口紗由・山下貴成
シモキタ・スモールリノベーション
SHIMOKITA small urban renovation for additional activity
デザインという行為は、「整理する」作業から始まる。それは条件を「整える」ことだったり、バラバラな要素を「揃える」ことだったりするが、初期段階ではそれだけでデザインの方向性が決まってしまうことも多い。デザインとは、「モノ」を作ることが目的なのではなく、「場」や「経験」や「生活」を描くことが目的であるからだ。
この課題は、小田急線・井の頭線下北沢駅北口周辺(通称シモキタ)を対象としてサーベイ(調査)を行い、そこで発見した問題意識をもとに、これからのシモキタをより魅力的にする、小さなアーバンリノベーション(更新)を求めるものである。
ここ数年、シモキタは、2013年3月の小田急線地下化に伴い、劇的な変化を続けている。地下化工事のための空地もあるし、駅前計画や道路計画(補助54号線)のためにヴォイド(空白)になっている場所や店も多い。それに伴い、一番街商店街などには一時的な店が増え、これまでとは違った様相を見せている。井の頭線の高架も新しくなり、かつての土手がなくなって、「下北沢ケージ」という新しいスポットも出現した。いわば、都市的な「引き算」と「足し算」が日々行われ、更新しつづけている特異な街がシモキタである。
このシモキタをサーベイ(調査)し、都市のスキマを発見し、小さなリノベーション(更新)を行うことで、アクティビティーに変化をもたらしてほしい。「休むための公園」や「自転車置き場」ではなく、街の清掃や大規模な都市改造をもとめているわけではない。ささやかなランドスケープデザインや小さな建築やファサードの提案で、シモキタを少し変えてほしい。サーベイ→分析→問題意識→提案のプロセスを、自らのサーベイ体験をもとに発展させることを期待している。
■敷地条件 下北沢駅周辺に各自場所を設定する
■建築条件 建築的・都市的提案であること
■建築規模 延床面積は特に規定しない
■施設内容 ・周辺環境との関わりに配慮した提案であること
・新しいアクティビティー(行動)を発生させるために小さな都市的な更新をおこなうこと
シモキタ・インフォ 街の情報が集まる、都市の延長のような建築
建築の設計において、public(公共)は欠かせない概念である。社会生活で無意識に使用している施設全てに、public(公共)は存在している。この課題は、第1課題でサーベイした下北沢駅北口エリアの中心に位置するブロックを敷地に選び、これからの下北沢のための情報センター「シモキタ・インフォ」を考えることで、現代における公共の意味を問い、建築と都市の関係性を考えるものである。
だれでも自由に情報を得ることができる図書館は、代表的な公共建築である。しかし、現在の本はデジタルメディアに急速に取って代わられ、本屋も代官山蔦屋書店(Tサイト)のように、様々な機能・役割が付加されたメディアストアへと変わりつつある。図書館もまた、これまでの図書管理を中心としたサービスから、新しい情報サービスへの転換を考えなくてはならない岐路にある。既にそういった新しい枠組みの公共施設が出現しつつあり、最近では、蔦屋書店に運営を任せた公共図書館が論議を呼んでいる。
以上の様な現状をふまえた上で、様々な文化の街である下北沢に、街の情報センターとこれからのメディアサービス機能が合体した「シモキタ・インフォ」を提案し、これからの下北沢に相応しい、都市生活と公共施設の関係を記述して欲しい。
■敷地条件
東京都渋谷区 1500㎡ 小田急鉄道小田原線下北沢駅下車数分
商業地域 建ぺい率:80% 容積率:500%
南側道路や東側道路は、法規上4mに拡幅しなくてはならないが、提案に応じて判断して良い
敷地内に、公開空地300㎡を設けること
■建築条件
構造自由 2層以上 地下可能(敷地には1mほど高低差があるが、無視しても良い)
■建築規模
延床面積 1500㎡程度
■施設内容
メディアサービス機能300㎡、展示情報機能200㎡、学習機能200㎡
小ホール機能(100人)、カフェ+提案機能
管理機能100㎡(事務室・従業員控室・倉庫)、トイレ
搬出入・荷さばき室、機械室100㎡
駐車スペースは設けなくとも良いが、メンテナンス、搬入などのサービス経路を考慮する。
寸法を操作して領域をつくる ヤネのあるイエ・リツメンのないイエ
雨や風、暑さ、寒さから逃れるシェルターが、建築の原点である。
気候の変化から身を守り、外敵からも身を守る。その答えとして、「建築」は存在している。」
屋根や壁によって、外部と内部の領域を分けることで、「建築」は成立しているのだ。
つまり、「建築を設計する行為」とは「領域を決定する行為」であると言い換えられるだろう。
では、その「領域」はどうやって決めるのだろうか?
外敵や暑さ寒さから守るという意味で、建築にとって「室内」を作り出すことは重要な「目的」のひとつである。
しかし、伝統的な日本家屋では内部と外部は一体として考えられ、建具によって曖昧に、そして可変的に使われてきた。
だから、日本の現代建築家たちは、内外や上下の「領域」を様々に連続させ、曖昧にしようと腐心してきた。
「壁」から考えなくても、「ヤネ」の位置や寸法を操作することで、多様な「領域」を作り出せるかもしれない。
内外をつなぐ建具を開放すれば、庭と建築が一体化した、リツメンのない空間を考えることも出来るだろう。
この課題は、通常住宅で使われる寸法を学び、それらの寸法を操作することで、さまざまな「領域」をつくり、内部と外部が溶けあった魅力的な「イエ」を作り出すことを目的とするものである。
建築にとって「ヤネ」とは何か?「領域」とは何か?を考えることによって、魅力的な「リツメンのないイエ」を考えて欲しい。
■敷地
144㎡ (12m角の敷地)
接道状況や周辺環境は自由に想定して良い
密集した住宅地でも良いし、自然に囲まれた場所でも良い。ただし、周辺環境を十分に表現すること
■設計条件
・魅力的な「ヤネ」と「領域」の関係を持った小住宅であること
・階数 2層以上(階段でつながれていること)
・構造形式 自由
・床面積 70㎡程度
・必要諸室 家族ではない2名で使う住空間であること
住宅として成立する機能を満たしていること(他に依存しない)。
・ランドスケープ 敷地内のアプローチ・ランドスケープなどを必ず提案する。
*3年次設計演習授業
建築設計論1・同演習(春・月3−4・5セメスター)
◎吉松秀樹・佐々木龍郎・手塚由比・古見演良・更田邦彦
Aスタジオ ハードにもソフトにもマチに開く -架構から考える、明日もまた行きたい小学校-
街に開くとは、ハード、ソフト両面において街に開くという意味です。小学校に、ショップや地域に開放できる施設を取り込み、小学生だけでなく街の人も楽しめるような小学校を考えてください。
ショップや地域に開放できる施設は、自由に設定してください。子供だけでなく大人も学べる場として考えてもいいですし、子供達が放課後や休みの日に使える場として考えても構いません。全く違った角度から新しい機能を加えてもいいでしょう。既成概念にとらわれず、自分が小学生として通うとしたらこんな小学校がいいなと思える学校。楽しく学べて、楽しく遊べて、明日もまた学校に行きたいと思える小学校を架構から是非考えてみてください。
学校建築はこの30年ほどの間に様変わりし、片廊下に教室が並ぶ従来型から、開放的なオープンスクール型まで、様々な学校がつくられてきた。一方、学校を取り巻く社会環境も大きく変わり、より地域に開放された学校が求められ、生涯学習の場や子育て支援のための設備が設けられるようになった。学校は、社会から切り離された教育のためだけの空間ではなく、都市や地域の生活のための公共空間へと変貌している。小学校という教育のための施設を、都市や社会の側から再考することが、この課題の目的である。どんな空間をつくれば、子供達が生き生きと学び、遊ぶ環境と、社会や街との新しい関係が共存できるだろうか。既存の教育プログラムや学校建築の形式にとらわれることなく、これからの日本にとって必要な、公共施設としての小学校空間を提案してほしい。
■敷地
東京都港区南青山
■敷地条件
6,800㎡(間口:約97m×奥行き:約69m)
第1種中高層地域 建ぺい率60%(角地緩和10%) 容積率300% 準防火地域
■設計条件
建築面積(水平投影面積):4,080㎡以下(敷地面積×60%)
延べ面積:6,000㎡程度
構造形式:S造・RC造・SRC造など自由
階数:地上2階建て
必要諸室:下記を基準面積として提案を行うこと(提案に応じて変更してよい)
a.普通教室:1,152㎡(64㎡教室×18室)
b.音楽室:128㎡(1室)
c.理科室:128㎡(1室)
d.家庭科室:128㎡(1室)
e.図画工作室:128㎡(1室)
f.図書室:128㎡(1室)
g.校長室:64㎡(1室)
h.職員室:128㎡(1室)
i.保健室:128㎡(1室)
j.共用部:2,400㎡(オープンスペース・WS・廊下・トイレなど)
k.機械室:400㎡程度(全体の7%程度確保する)
l.提案機能:1,000㎡程度(地域開放できる機能やショップなど)
m.駐車場:敷地外に確保するが、搬出入動線と駐車荷下ろしスペースを設ける
※200mトラックや100m直走路などは設けなくても良いが、体育の授業が行えるように考えること。
※体育館やプールは各自の提案による(設けなくてもよい)
Bスタジオ これからの公共のためのシェアスタジオ -プログラムから考える、双方向性公共サービスのありかた-
「公共」という言葉の捉え方が、少しずつ変わってきています。今まで「公共」は行政などが空間やプログラムを提供し、大都市圏から地方まで公平に分配されてきました。人々はその恩恵を享受すれば良く、地域価値の形成に役に立った部分はありますが、一方で地域の無個性化を助長してしまった点も少なくありません。
しかし、最近、地域に関わる人々の「公的な側面を持つ活動」がSNSなどで発信・共有されることで、今までとは違う「公共」が作り出されてくるようになりました。例えば、横浜のBUKASUDOというスペース(三菱地所・空間活用事業者リビタ)では、複数のメンバーが少しずつお金を出し合って空間をシェアし、そこにレコード・日本の伝統に関わる書籍・ものづくりなどのコンテンツを持ち寄って「大人の部室」として設え、DJ教室・本の読み聞かせなどのイベントを組み合わせて、さまざまな人を巻き込みつつあります。大きなシェアキッチンでは、餃子部・ジビエ部などの楽しくて美味しい活動が人を集めています。
今までの「公共」が一方的なサービスであったとするならば、「これからの公共」には双方向性を持つサービスという視点が必要になるでしょう。そのような公共の在り方の変化を視野に入れ、南青山の敷地の特性を生かした「これからの公共」のためのシェアスタジオを提案してください。
■敷地
東京都港区南青山
■敷地条件
6,800㎡(間口:約97m×奥行き:約69m)
第1種中高層地域 建ぺい率60%(角地緩和10%) 容積率300% 準防火地域
■設計条件
建築面積(水平投影面積):4,080㎡以下(敷地面積×60%)
延べ面積:6,000㎡程度
構造形式:S造・RC造・SRC造など自由
階数:地上2階建て
必要諸室:下記を基準面積として提案を行うこと(提案に応じて変更してよい)
a.図書館:2,000㎡(代官山TSUTAYAのようなブックサービス)
b.シェアスタジオ:1,500㎡
アート&クリエイティブ1,000㎡
ギャラリー、シェアスタジオ、ファブラボ(3Dプリンター・カッティングマシンなど)など
ヘルス&スポーツ500㎡
スタジオ(ヨガなど)、ランナーズステーション、シェアキッチン、スポーツクリニックなど
c.カフェ&ショップ:600㎡(2か所以上・書籍雑貨など)
d.アリーナ:600㎡(展示会、展覧会、パーティーなど)
e.共用部:1,000㎡程度(WS・廊下・トイレなど)
f.機械室:400㎡(全体の7%程度)
g.屋外スペース:原っぱ(子供が身体を動かすための空間)など、
内部空間や周辺地域とつながる外部空間
h.駐車場:敷地外に確保するが、搬出入動線と駐車・荷下ろしスペースを設ける
Cスタジオ グッドデザイン・ミュージアム・ギンザ -G Mark Design Museum, Ginza-
グッドデザイン賞は、1957年の「グッドデザイン商品選定制度」に端を発し、約60年にわたり日本におけるグッドデザインを提示し続けてきた。今では、この賞を受賞することで高い社会的信用を保証されることが、「Gマーク」とともに周知されている。1998年に運営母体が官から民に移行したことで、現在では年間約1,200点もの受賞作品を選出するまで審査対象が広がってきたが、これまで蓄積してきたグッドデザイン賞の歴史やコンセプトは、受賞年年鑑の発行やホームページでの公開にとどまり、展示拠点は未だに作られていない。
そこで本課題は、銀座の中央通りに面した敷地に、グッドデザイン賞のためのミュージアムの計画を求めるものとする。このミュージアムでは、新旧の主な受賞作を年代順に展示することで、時代ごとの世相とともに戦後日本の生活史を俯瞰していくものとし、最新のグッドデザインの動向や方向性については、動画を含めた画像情報を用いて、その詳細にわたる情報提供を行っていく。また、毎年行われる受賞イベント(Good
Design Exhibition)会場として、企画展示室とホールが使われることを想定しており、ワークショップを含めた賞に関わる企画や活動も総合的にこのミュージアムで行うものと考えている。
敷地は3面道路に面した銀座の一等地であるので、計画にあたり周辺環境と文化的コンテクストを調査し、よく理解しておかなければならない。特に3面ファサードをデザインするにあたり、銀座の都市的文脈を読み込むことは不可欠である。また、多層建築の可能性を引き出すためには、断面スタディを積み重ねていかなくてはならないし、空間構成の仕組みと構造の考え方が適合しなければ、リアリティのある計画となることはない。
それらのことを踏まえた上で、銀座のコンテクストにマッチしつつ、これまでに体験したことのない多層のミュージアム建築を提案してほしい。
以下の3つの連続性を意識してほしい。
1:周辺環境との連続性。ランドスケープと建築の両方をデザインする。
都市コンテクスト(文脈)を読み込み、銀座の都市アクティビティを理解する。
2:配置された諸機能の連続性。平面的・断面的な動線計画を熟慮し、施設全体が魅力的な施設とする。
3:家具デザインから構造デザインに至る思考の連続性。プログラムから建築のカタチを作りあげていくことを目標に、スケッチや図面を描いて案を練り上げる。
■敷地
東京都中央区銀座
■敷地面積:1,400㎡:商業地域・防火地域
容積率:800%(容積緩和+300%)・建ぺい率:80%(角地緩和90%)
■設計条件
延床面積:6,000㎡前後
■構造形式:自由(S造、RC造、SRC造など)
■高さ :地上31m以上とする(最高高さ50m・地下2層地上5層程度)
銀座はかつて31mラインで高さが揃えられていた。
現在、一番高いのはポーラ銀座ビル(65.9m)である。
■必要諸室:下記を基準面積として提案を行うこと。(提案に応じて変更してよい)
a. 常設展示 :800㎡
1957-1997年(通産省が主催・管理)の主な受賞作約300点を年代順に展示
b. 企画展示 :800㎡
1998年以降(日本デザイン振興会が主催・管理)の主な受賞作を展示
毎年開催される「Good Design Exhibition」の展示会場として使用
c. 収蔵展示 :500㎡
小型の作品や紙データ等を保管・管理・展示
d. カフェ :200㎡ ミュージアムカフェ
e. ホール :400㎡ 200人・AV機能
プレゼンテーション・受賞プロモーション・連携プロモーション
f. ショップ :300㎡ ミュージアムショップ・ブックショップ・倉庫
g. ワークショップ :200㎡ 50㎡×4室
h. 管理 :300㎡ 事務、館長室、会議室、出版
i. 機械室 :500㎡ 空調(地下または屋上)+電気(100㎡)
j. 共用 :1,800㎡
ロビー・ホワイエ・通路・休憩ラウンジ・階段・便所・屋外イベントスペース等
k. その他 :避難階段として区画された2つ以上の直通階段・客用EV(必要台数)
+搬出入EV
:駐車場は敷地外とするが、搬出入動線や駐車スペースは確保
Dスタジオ ジャパン・ステーション -Japan information station, Ginza-
世界の多くの国で「観光」は重要な経済資本のひとつである。日本でも2008年に観光庁が発足。当時、日本への海外観光客は1位フランスの8000万人に対して1/10の830万人であった(2012年まで800万前後で推移)。しかし今、JAPANは世界的注目を集めて、2015年の海外観光客は1970万人。2020年の東京オリンピックへ向けてさらに増進するだろう。
世界から興味を集めるコンテンツも多岐にわたり、フジヤマ・京都・和食等、昔ながらのニッポン(伝統的日本文化)以外にも、東京下町・地方の生活風景・オモテナシのカタチ(日本の日常)、さらに、アニメ・マンガ・フィギュア・ゲーム・オタク文化・ポップミュージック・ガールズファッション(ジャパンニューカルチャー)と、さまざまなカテゴリーに及ぶ。近年、観光立国としての素地は出来つつあり、有効なインフラも整備されてきている。しかし、海外観光客たちが情報を収集・交換し合い、レファレンスを受けたり、みんなが楽しく集まれるたしかな場所がないのが現状である。そこで、東京の中心のひとつである銀座に、それらのコアとなるスペースを計画し、デザインしてほしい。その建物が、日本の文化・真髄を、もっと多岐に、広く、深く、伝えられる場所となるように考えてほしい。
以下の3つの連続性を意識してほしい。
1・周辺環境との連続性。ランドスケープと建築の両方をデザインする。(都市コンテクストを読み込み、銀座の都市アクティビティを理解する)
2・配置された諸機能の連続性。平面的・断面的な動線計画を熟慮し、施設全体が魅力的なカタチとなる。
3・家具デザインから構造デザインに至る思考の連続性。プログラムから建築のカタチを作り上げていくことを目標に、スケッチや図面を描いて案を練り上げる。
■敷地
東京都中央区銀座
■敷地面積:612㎡:商業地域・防火地域
容積率:800%(容積緩和+300%)・建ぺい率:80%(角地緩和90%)
■設計条件
延べ面積:6,000㎡前後
■構造形式:自由(鉄骨造、SRC造など)
■高さ :地下1~2層、地上10~15層(最高高さ56m+工作物10m)
銀座はかつて31mラインで高さが揃えられていた。
現在、一番高いのはポーラ銀座ビル(65.9m)である。
■必要諸室:(以下を目安にして、必要諸室と面積配分を決定)
a. JAPAN観光 :800㎡
インフォメーション・メディアテーク・アーカイブ・レファレンス
b. ポップカルチャー :800㎡ インフォメーション・メディアラボ・ワークショップ
c. 日本の食文化 :400㎡ レストラン・キッチン・ワークショップ
d. ユニバーサルカフェ :200㎡ フロアー・キッチン
e. シアター・シネマ :200㎡ ホール・ホワイエ
f. 祭り・コンサート等のアクティビティ :200㎡
g. レクチャー・スクール・ワークショップ :200㎡
h. 収蔵 :400㎡
i. 管理 :400㎡ 事務・館長室・会議室
j. 機械室 :500㎡ 空調(地下または屋上)+電気(100㎡)
k. 共用 :1,800㎡
ロビー・ホワイエ・通路・ラウンジ・階段・便所・屋外イベントスペース等
l. その他 :避難階段として区画された2つ以上の直通階段・客用EV/搬出入EV
:駐車場は敷地外とするが、搬出入動線や駐車スペースは確保
建築設計論2・同演習(春・月3−4・6セメスター)
◎杉本洋文・上田至一・長谷川祥久
松田町の地域交流施設
神奈川県西部に位置している箱根・丹沢山系に囲まれた足柄平野の奥に松田町は位置している。街中には酒匂川が流れ、主要幹線道路の国道246号線、東名高速が通り、鉄道網は、小田急線(新松田駅)とJR御殿場線(松田駅)が立地し、主要交通網が集中する利便性の高い交通の結節点として発展してきた。足柄平野には、広大な平らな地形と豊富な水資源を活用して多くの工場や産業が立地している。その通勤の拠点としての役割も担っており、バス路線も充実している。
現在、小学校の老朽化に伴い、中学校と合併させて、木造の小中一貫校を新築しての移転が計画されている。また、松田町では1200席規模の文化ホールを持っているが、現在雨漏りなどの老朽化が著しく、今後の利活用を検討している。
松田町では、人口減少や高齢化の進展に伴い、2駅を中心とした駅前再開発、中心市街地再生計画などを推進しており、将来のまちづくりを視野に入れて、小学校跡地に、市民の文化活動の拠点となるホールと図書館を複合する施設整備を検討している。
この課題では、そうした町の計画の可能性を検討するために課題として取り上げ、提案するものである。計画する施設は、ホール(約500席)と図書館を複合した施設を基本とするが、縮小・高齢化する社会において、松田町の地域活性化やまちおこし、まちづくりにとって、改めて真に必要な施設、空間とはどんなものかを、各自が考え、現実に提案する機会としたい。
敷地は小学校跡地であり、敷地の周辺には国道246号線が通り、宿場町の街並みが残されている。そのことから、歴史的資源が豊富で、小田急線新松田駅から敷地まではロマンス商店街が続き、小学生の通学路であり、かつての賑わいを感じる沿道型商店街を形成している。
提案する施設内容の最初の設定は以下の通りである。しかし、人々に広く開放され、できるだけ多数の人々が集まり、活発に利用される公共空間のあるべき姿を各自で面積、規模、機能、用途や使い方まで提案してよい。但し、多数の人が一つの空間に集合して一つの目的の為に意識を集中させる場所と、様々な目的で訪れる不特定多数の人々が、個々に自由に同時に利用する空間と、どちらも持つこととする。公共の空間を人々は1人で、時には2~3人、またそれ以上のグループで利用する。そしてさらに多数の人が集まり、講演、音楽、ダンスや演劇を鑑賞し、その時間・空間の体験を共有する。それらは、個々に独立した空間内で起こる場合も、連続する様々な場所で同時多発的に起こる場合も想定できる。そのどちらもが様々なスケールで行える場所をつくってほしい。人々の活動がどうすれば個別にでき、どうすれば連帯して共有する空間を連続できるかを考え、また、どのような空間があったら日常的に1人で訪れたいか、複数で集まりたいかを想像し、それを具体的に計画することを実践してほしい。
全ての人々が、個々に快適で集いやすく、共有意識を高め合うことができる、新しい公共空間を提案してほしい。
■敷地面積 13,500㎡
■用途地域 第1種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)
■建築概要
◆構 造 自由
◆規 模 6,500㎡程度
◆階 数 適宜
◆必要諸室 ・ホール機能:2,500~3,000㎡程度
講演、演奏、合唱、ダンス、バレエ、演劇、映画等に広く利用できるホール系施設
基本的な舞台サイズ等のスペックを参考にしつつ、各自何らかの特徴を持たせたホールとすること。
-ホール(500席程度)
-ホール用ホワイエ
-バックヤード(楽屋、倉庫、搬入口、荷解きスペース、楽屋ラウンジ、技術者控室等)
-100席規模の小ホールとして使えるリハーサルスタジオ1室
-中小のスタジオ最低各1室
・展示・創作機能:500㎡程度
-展示スペース200㎡程度(4m程度の有効天井高さ)
-展示準備室・収納庫、搬入口(ホールと兼ねてもよい)
-ワークショップスペース、製作室
・図書館機能:1,000~1,500㎡程度
-開架スペース(開架10万冊程度)、児童図書コーナー、読み聞かせコーナー
-書庫スペース(閉架5万冊程度)
-荷捌き室、事務室、文化財書庫、閲覧室兼学習室、ボランティア室、その他
・管理機能:500㎡程度
-管理事務室(20人程度の執務スペース)、会議室
-ホール系運営製作者と図書館司書系、展示空間系キュレータなどが執務・作業できるスペース
受付と活動相談ができるスペース
・その他:1,000㎡程度
-各施設に必要なトイレ、倉庫、廊下など
-機械室10%
・屋外
-ライブイベント、バザー等が開催可能なオープンロビーに連続する広場空間
(駐車場と兼用可)
-緑地帯(地盤レベルでなくても良い)、子供の遊び場、屋外のたまり場
-搬入車、関係車両用駐車場、来場者駐車場適宜
これに、上記課題を実現するために必要な機能を各自考え、追加してよい。
また、各機能諸室の規模は適宜増減させてよい。
ただし、その追加・増減した理由を明確に説明できること。
交差点をデザインする! 茅ヶ崎のストリート文化をつなぐ複合コミュニティ施設
茅ヶ崎市は、湘南海岸の中心に位置し、温暖な気候と良好な海岸を有していることから、東海道線の南側エリアは、かつて療養所・別荘が多数立地し、保養・レクレーションの街として発展し、その後、別荘地の周りの農地が開発され、低層の良好な住宅地を形成した住環境都市である。しかし、開発は自然発生的に形成されたために、主要幹線道路が少なく、多方向に交差する路地が迷路のように入り乱れる。この都市構造は、外来者にとっては迷路だが、生活者には、通勤、通学、散歩などに使われ、それぞれ自分のルートを使って快適に暮らしている良い点も見られる。街中は、別荘地の屋敷林、生垣を回した宅地、木質の住宅など、高密な住宅地にも関わらず心地よい緑環境を提供している。道路幅が狭いために開発ができず、空家の事例も増え、放置されることによっての住環境の悪化も起きている。
茅ヶ崎市の街路の中のメインストリートと言えるのは、茅ヶ崎海岸に沿った東西に横切る国道136号線・鉄砲通・南湖通り・桜道の4つの幹線道路と、海に繋がる南北を繋ぐ、サザン通り・高砂通り・雄三通り(旧東海岸通り)・一中通り・ラチエン通りなどの5つの幹線道路で構成されている。それぞれ街の特徴を表す個性的な名前がつけられている。住民にとっては、日常的な暮らしの場であり、そこには個性を競い合う店舗が並び商店街を形成している。駅近くは、空き店舗が少なく、常に、時代を捉えて更新され、駅から遠くなるに連れて空き店舗が目立つようになる。また、茅ヶ崎の街は、外車の保有率が高く、住民自らが自宅のガレージを使っておしゃれなカフェやセレクトショップなどを手作りし、趣味のサーフィンやビーチスポーツを楽しむなど、カリフォルニアのリゾート地を彷彿とさせる茅ヶ崎独自のライフスタイルが展開されている。
この課題では、街を歩き、茅ヶ崎のストリート文化をグループでリサーチし、その特徴や課題を把握しながら2つのストリートが交差する場所を選定して、デザインすることを設計課題とする。最初に、2~3人のグループでリサーチし、発表する。そして選定した交差点の4つの敷地を計画対象地とする。提案するプログラムは、茅ヶ崎のストリート文化をより強化し、市民のライフスタイルを表現し、地域コミュニティ形成と交流人口の創造に寄与する市民の活動拠点を提案すること。
■敷 地 約500㎡~1,000㎡
■施設規模 約1,500㎡~2,000㎡
■階 数 自由
■構 造 自由
■法的規制 各グループで調べる
■プログラム ・コミュニティに関する施設(子育て、介護、学童保育など)
・交流施設(カフェ、ギャラリーなど)
・湘南スタイルの暮らしのできるスタイルの住宅(4戸以上)
・ストリート文化を取り込んだ自由提案
(ポケット広場、自転車ターミナル、店舗、工房、ギャラリーなど自由に提案)
・自由提案