2009年度設計系授業参考作品
2009年度に行われた1年生から4年生までの設計系授業の参考作品を課題別に紹介します
建築デザイン2・同演習 (2セメスター)
立体の分割
立体物の塑形に慣れ親しむことと、多角的に検証・推察しながらデザインを進める力を養うことを目的とする。分断された立体を俯瞰で見た場合、それぞれ独立した立体造形物として認識される一方で、立体が切り離された瞬間、双方の切断面との間に思いもよらない空間が発生することもある。ここでは、どのような形態を伴って分割されるのか、立体的な想像力とアイディアが要求される。立体を操ることは、同時に空間もコントロールしているという点を、実践を通じて理解を深めて欲しい。
#2 分割された3つのヴォリュームは必ず元の立方体に戻すことができるものとする。
#3 分割面は密着しなければならない。(分割した面と面の間に中空部分があってはならない)
#4 着彩は自由。
線材の構成
目的
線材(軸材)の特性を理解し、それを活かしながら空間を構成する方法をつかむ
方法
線材を用いて、最終的に280mlのペットボトルを載せても壊れない強度を持った構造物を製作する
設計基準
キャンティレバー(片持梁)の端部固定のために、W105×H105×D150の凹部を用意するので、その凹部に差し込めるW100×H100×D150の端部を作成すること。この凹部に差し込むことのできない作品は失格とする。
キャンティレバーとして働く部分は、W100×H100の範囲内でL450とする。明らかにL450を下回ると判断した作品は失格とする。
荷重条件
キャンティレバーの先端に掛ける荷重として、280mlのペットボトルを立てて代用する。したがってキャンティレバーの先端にはペットボトルを載せるスペースを確保すること。
材料
・角 材:1mm角・ヒノキ
・ 糸 :裁縫用の糸、釣り糸など(タコ糸などの太いものは除く)、糸は使用しなくてもよい
・接着剤:瞬間接着剤、ボンド、セメダイン等
セルフビルドで空間をつくる -BEACH HOUSE 2010-
秋学期の建築デザインⅡ・同演習を通じて学んできたことの集大成として、初めて「機能」を持つ建築空間を考え、デザインする課題である。芸術作品の造形と異なり、人間とかかわる機能をもつためには制約がある。自分なりに求められる機能を分析しながら、自由な発想で条件にあった具体的な空間を構築し、表現することが求められる。また、思考作業を通じて、新たに自分の「建築」に取り組むスタンスを再確認し、今後の設計への足がかりを習得することを目的とする。
■課題概要
平塚市の平塚海岸は、湘南を代表する松林と砂浜などのすばらしい環境を備えている。ここでは、ビーチバレーを初めとして各種ビーチスポーツが盛んに行われ、日本を代表するメッカとしても有名である。この海岸の一画に、平塚海岸を望みながら休息や交流など、自ら考えた機能をもつ「空間」をつくる。角材や合板パネル、竹などを主材料としてセルフビルドで組み立てる。面積は100㎡以下とする。自由な発想で、材料の特性を生かした空間を創造してほしい。
建築デザイン3・同演習 (3セメスター)
Challenge Center Gallery
東海大学独自の活動「チャレンジセンター」の展示・交流ギャラリーを学内に計画する。
チャレンジセンターは現在、事務所機能しかなく、広く活動を広報する場所が確保できていない。そこで学内に展示及び交流を目的としたギャラリーを設計してもらいたい。この場所はギャラリーであると同時に多目的にも使える空間であり、君達学生が気軽に利用できる屋内屋外空間として、時には単に待ち合わせスポットとしても有効に機能してもらいたい。
今回は展示内容として1年最後の課題の「平塚ビーチハウス」の展示を計画することとする。例えば屋内にパネルや模型を展示し、屋外に自分の計画した実物(あるいはその一部)のビーチハウスを展示しても良いであろう。
計画地はそのギャラリーに最もふさわしい場所として、北門の近くの緑地帯とする。
設計条件
・ 要求面積:約100㎡程度
・ 最高高さ:10m
・ 構造及び階段は自由
ON OFF 「森の家」
現代社会では、人口の多くが都市に暮らすようになり、核家族化も進んでいる。日常の都市での生活は、密度の高い「ONの時間」を過ごしている。その為に、週末などの時間は、その日常から開放され自由な「OFFの時間」を求め、日常とは異なった趣味などの活動を屋外ですることになる。
自然豊かな環境に接することによって、私たちは、時間の流れ、身体感覚、人と人との関係などを再認識したり、取り戻すことができる。そこで週末などの短期の期間に、家族や親しい仲間と一緒に、自然豊かな森林の中で生活する「森の家」を課題とする。
敷地は、秦野市の森の中とし、清流に接している緩やかな傾斜地とする。計画に当たっては、この清流を取り込む、森林の一部を伐採するなどできるが、自然破壊を最小限に留めるように配慮すること。
施設は、親しい仲間5~6人と一緒に生活できる空間を確保し、森林を活かした活動の拠点となるようにする。したがって、個人の最小限のプライバシーが確保できればよい。また、食事は、皆で一緒に料理をしながら会食できる場を設ける。また、森の清流の水を使って仲間と一緒に入れる温浴施設を計画する。計画に当たっては、森の中で自然に接して活動する拠点なので、屋内外の活動をよく考え、それらの活動に必要な空間のスケール感をつかむこと。そして、自然(森)に対して人・建物ともに積極的に関わっていく装置としての建築の新しい可能性を提案してもらう。
敷地
・神奈川県秦野市
・1000㎡程度 緩やかな傾斜のある森林 清流に接している
建築条件
・構造自由 2階以下
・最高高さ 10m
建築規模
・交流スペース(30~50㎡)
・宿泊スペース(30㎡)
・水回り、他(15~20㎡)
・合計 80㎡(min)~100㎡(max)程度
・ただし、屋外スペースは、これに含まない
施設内容
・自然の中での暮らしなので、暖炉・展望デッキ・バーベキューテラス・趣味スペースなどは
自由に設定して提案すること
・滞在者全員の個室は必要ではない
その他
・駐車スペースは敷地近辺にあるので計画しなくてよい
・アプローチも考慮すること
SLOW LIFE HOUSE × KITCHEN × CAFE
課題主旨
昨今スローライフという言葉を良く耳にする。20世紀後半は効率を追及してきた時代。「早い、安い、便利」を追求し、経済的には繁栄した反面、地球環境は汚染され、生活が本当の意味で豊かになったとは言い難い。そこで21世紀は、大量生産・大量消費の急ぐ社会から、モノと心を大切に、急がない社会に移行しようという考えが出てきている。「ゆっくり、ゆったり、ゆたかな心で」いわゆる「スローライフ」で生活の質を向上させ、かつ地球にもやさしい生活を実現しようというのである。建て主はこのスローライフを目指す40代の夫婦。夫は料理研究家として名を馳せ、ここにスローフードのカフェを開こうとしている。有機栽培の野菜などを使い、素材の味を生かした料理やデザートを出す予定。時には大きなキッチンで20人くらいのクッキングセミナーも開きたいと考えている。妻はスローなライフスタイルを伝える作家活動をしている。時には住まいの部分も使ってスローライフを伝えるイベントをしたいと考えている。
敷地
東京都渋谷区
家族構成
・夫:48歳 妻:45歳 長男:18歳 長女:12歳
必要とされる機能
・カフェ・カフェ厨房・クッキングセミナーで使えるキッチンスタジオ、家族4人のための住まい
建築規模
・敷地面積 約192㎡
・建蔽率 60%以下
・容積率 300%以下(容積を使い切る必要はない)
・構造及び階数は自由
・高さ制限 10m
・延べ床面積300㎡程度
建て主の要望
・カフェはオープンカフェにもできると良い。
・住まい部分は外でも食事ができる場所が欲しい。
・風呂も露天気分が味わえると良い。
・時々電気を消してろうそくの火で風呂に入りたい。
・どこかに緑が植えられるとよい。
建築デザイン4・同演習 (4セメスター)
SHIMOKITA SUBTRACTION & ADDITION
課題概要
デザインという行為は、現状を「整理する」という作業から始まる。それは、条件を「整理する」ことだったり、バラバラな要素を「揃える」ことだったりする。初期段階では、ほとんどそれでデザインの方向性が決まってしまうことさえある。
「整理」したり「揃える」ために、何かを「削除」しなければならないこともあるだろうし、何かを「付加」する必要が発生することもある。前者を「引き算のデザイン」と呼ぶとすれば、後者は「足し算のデザイン」と呼ぶことができるだろう。
デザインという行為は、基本的にこの「足し算」と「引き算」のバランスで成立している。このことは、インテリアのような「場」や建築のような「モノ」をデザインする場合に限らず、都市やランドスケープなどをデザインする場合にも同じことが言える。
デザインとは、「モノ」を作ることが目的なのではなくて、「場」や「経験」や「生活」を描くことが目的であるからである。
この課題では、通称「シモキタ」と呼ばれる小田急線・井の頭線下北沢駅周辺を対象として、「引き算」と「足し算」のデザインに挑戦してもらいたい。下北沢をサーヴェイ(調査)し、対象エリアの中から、気になる部分を選び出し、実際に存在している何かを少し「削除」して、その代わりに何かを「付加」する。削除する対象は、いろいろなレベルで見いだすことができる。放置自転車を片付けたり、建物を丸ごと取っ払ってしまう方法もあるだろう。しかし、ここでは街の清掃や大幅な都市改造をもとめているわけではないことに気がついて欲しい。
これまでの課題では、主に「足し算のデザイン」が要求されていたが、この課題では「引き算のデザイン」を覚えてほしい。時には大胆な「引き算」が非常に大きな効果を発揮することがあるのだから。
サーヴェイ → 分析 → 問題意識 → 提案といったプロセスを、自らの体験をもとに空間化することを期待している。
敷地条件
下北沢駅周辺に各自場所を設定する
建築条件
建築的、都市的提案であること
建築規模
延床面積は特に規定しない
施設内容
周辺環境との関わりに配慮した提案であること
新しいアクティビティーを発生させる為に必要な機能を含むこと
Design Incubation Center
課題概要
建築の設計において、public(公共)は欠かせない概念の一つである。社会生活を行う上において無意識で使用している施設全てに、public(公共)は存在している。この課題は、商業化が進む港区南青山の敷地を選び、公共とはなにかを考え理解してもらうことを目的としたものである。
表参道・青山通り・骨董通りに囲まれた地区は、高級住宅地であったが、近年ファッション系の旗艦店が路地裏に進出してくるようになり、家具などのインテリアショップ、Designショップなどが散在する、Fashion・Designゾーンへと変貌しつつある。最近、隈研吾設計の新しい根津美術館がオープンし、南青山はまた大きく変わりつつある。こういった東京らしい地域である南青山を対象として、そのコアとなる「小さなデザイン・インキュベーション・センター」を設計してほしい。
デザイン・インキュベーション・センターは、ファッションやグラフィックなどに関わるデザイナーたちを支援する施設である。インキュベーションとは孵卵器を意味する言葉であり、デザイナーの卵たちのSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)とデザインに関するブックショップ、ギャラリー、小さなホール、カフェなどによって構成されている。対象とするデザインについては、より専門的なジャンルへ絞っても良いし、デザイン関係者全般のコミュニティーセンターと捉えても良い。デザインに関するブックショップ+カフェを中心とし、デザインに関するギャラリーが併設し、各種ワークショップや講演などに使われる小ホール(100~200人)との連携を考慮した、これからの南青山の核となる施設を考える。
五反田の東京デザインセンター、新宿のOZONEなどを参考に、このデザインインキュベーションセンターに相応しいプランはどんなものか?そして展示やイベントの意味とは何か?を考え、Public(公共)の本質に迫ってほしい。
敷地条件
東京都港区南青山
建築条件
構造自由・階数自由
建築規模
延床面積 1500㎡程度
施設内容
SOHO(100㎡程度×6戸)
デザインブックショップ・ギャラリー・小ホール・カフェなど
管理機能(事務室・従業員控室・収蔵庫・トイレ)
搬出入・荷さばき室(延床面積の7%以上)・機械室(延床面積の7%以上)
搬出入経路を考慮し、周辺環境も含めた提案を必ず行うこと
敷地には約1mの高低差があるが、考慮しなくても良い
階段と風呂と私
課題主旨
雨や風、暑さ、寒さから逃れるシェルターが、建築の原点であると思う。気候の変化から身を守り、外敵からも身を守る。その答えとして、建築の屋根や壁は存在している。つまり、建築を設計する行為とは、「領域」を決定する行為であると言い換えられるだろう。壁や屋根によって外部と内部の領域を分けることで、「建築」は成立しているのだ。
そう考えると、日頃なにげなく使っている「階段」が、面白い建築的要素であることに気がつくかもしれない。複数の領域をつなぐ装置として「階段」は存在しており、「階段」という機能によって多層建築は初めて成立する。そういう理由なのか、上下の領域がつながれた場所に建築的な魅力を見いだす建築家は多い。吹き抜けや天井高のある空間に魅力を感じるのが顕著な例であり、「階段」もまた建築家の腕の振るいどころである。
同時に「階段」を正しく設計できることは、建築を作り出すために必要な知識である。トイレ・風呂・キッチンなどの水回りと階段が設計できれば、住宅はほとんど設計できているのかもしれない。これらの設計には様々なスケールを覚え、そしてそれらを使いこなせることが必要になるからである。特に日本人にとって風呂は重要な要素である。風呂に入り、身体を清めることは日本人にとって、生活の一部であるし、温泉などでゆったりと湯船につかることで幸せを感じる日本人は多い。一方、家の中で靴を脱ぐ風習のある日本では、階段は欧米とは違う、もっと弱い存在として考えられてきたかもしれない。
このように、この課題は、「階段」「風呂」という建築の部分から、建築全体を考えていく行為を目的とするものである。建築にとって、そして自分にとって、「階段」とは何か?そして「住宅」とは何か?を考えることによって魅力的な階段と風呂のある「家」を考えて欲しい。
敷地条件
自由
設計条件
魅力的な階段と風呂をもつ小住宅であること
構造形式
自由
建築規模
床面積 60㎡程度
必要諸室
1人の私のために使われる住空間であること
住宅として成立する機能を満たしていること(他に依存しない)
建築設計論1・同演習 (5セメスター)
Japan Creative Centre,Tokyo
課題内容
2008年10月に観光庁が発足し、特に海外からの観光客の増加を目指している。現在、日本への観光客は世界で30位で、1位のフランスの年間8000万人のわずか1/10。アジアでも7位で、シンガポールよりも少ない数に甘んじている。
しかし、日本の伝統的文化は海外で根強い人気があり、文化的に様々な影響を与えてきた。最近ではアニメやマンガ・ゲームなど新しい日本文化への興味も増加しており、観光立国としての素地は固まりつつあるといってよい。交通機関などの外国語表記やアナウンスメントはここ数年でかなり整備されてきたが、その一方でインフォメーションセンターや日本文化を発信する観光拠点などの整備はかなり遅れていると言わざるを得ない。
こういった時代背景を受けて、現代日本の新しい文化の中心地の一つである表参道に面する敷地に、現在の日本文化を発信する国際文化交流拠点「Japan Creative Centre Tokyo」(以下、JCC)を計画する課題である。
JCCには、アニメ・マンガを始め、日本のアート、映画、ファッション、文学、建築、デザイン、音楽、演劇、パフォーマンス、ゲーム、インターネットなど新しい日本文化を紹介する機能が盛り込まれる他、ツーリストインフォメーション機能や観光サポート機能など、最新の情報と場所の提供が行われる。
計画にあたり、以下の3つの連続性を意識してほしい。
1:都市コンテクスト(文脈)を読み込み、ランドスケープデザインと建築デザインを行うことによる周辺環境との連続性
2:平面的・断面的な動線計画を熟慮し、配置された諸機能の連続性
3:利用者と展示・情報空間との快適な接し方から、家具デザインから構造デザインに至る思考の連続性
建築のカタチにプログラムをあてはめるのではなく、プログラムを考えることから建築を作りあげていくことを目標に、スケッチや図面を描いて案を練り上げ、新しい文化施設の在り方を提案してほしい。
敷地面積 1785㎡
設計条件
・延床面積:4000㎡程度
・構造形式:S造、RC造、SRC造など
・必要諸室:下記を基準面積として提案を行うこと。(提案に応じて変更してよい)
a.情報センター : 300㎡
(六本木TSUTAYAや青山ブックセンターのような文化情報発信型本屋+カフェ)
b.映像センター : 200㎡
(DVD、CDその他+ブース+情報入出力・配信サービス)
c.企画展示 : 400㎡
(企画展示+一時収蔵庫)
d.ショップ : 200㎡
(ミュージアムショップ)
e.ホール : 300㎡
(200人、AV機能を有する)
f.サポートセンター : 200㎡
(観光情報・サポート)
g.ワークショップ : 250㎡
(100㎡×1、50㎡×2、控室25㎡×2)
h.管理部門 : 400㎡
(事務、館長室、会議、受入れ・整理、製本)
i.研究室 : 100㎡
(25㎡×4)
j.機械室 : 400㎡
(空調+電気)
k.その他 : ロビー・ホワイエ・通路・休憩ラウンジ・階段・便所
EV・屋外イベントスペースなど
Multi Layered Architecture
課題内容
20世紀が獲得した最大の建築的発明のひとつに「多層建築(高層ビル)」があげられるだろう。図書館・美術館・学校といった機能によって類型化された旧来の建築タイプとは異なり、「多層建築」のみが都市との関わりあいによって作り出された新しいビルディングタイプであるからである。多層建築の機能は、一般的にオフィスであるが、この機能もまた20世紀の産物のひとつであると言って良い。
こういった認識を踏まえて、銀座中央通りに面した敷地に、PCや携帯電話などデジタル家電のためのカスタマーセンター機能を持つ多層建築を考えてもらいたい。ここでは、周辺都市環境との関係性、低層部の足元周りの計画、構造と計画の合性、建築企画立案とそのデザイン提案などが求められている。
企業や製品を建築で表すことは、他の建築との違いを意識することである。同様に、敷地の条件や計画の条件を考えることは、他との差異を測ることに他ならないし、デザインすることもまた、他者との違いを表現していくことでもある。
単なるガラスの箱ではない、新しい多層建築の在り方を提案して欲しい。
敷地 東京都中央区銀座
敷地面積 612㎡
設計条件 延床面積 7000㎡前後
構造形式 自由(鉄骨造、SRC造)
高さ 地下1~2層、地上10~15層(最高高さ60m)
必要諸室 (以下を目安として必要諸室と面積配分を決定)
・低層部分: 地下1階~5階は、想定したデジタル家電に関するギャラリー・ショールーム
カフェやカスタマーサービスカウンター・教育部門などを設定。
中・高層部分との関連を考慮する。
・中層部分: レンタブル比75%前後の基準階を持つオフィススペースを設定。
低層部ブランド企業1社が使用する。
・高層部分: 自由提案(文化施設・レストラン・ゲストハウスなど)
低層部と関係があることが望ましい。
・機械室 : 延床面積の7~10%確保。
・駐車場 : 敷地外で確保するものとするが、搬出入動線や駐車スペースは確保する。
・EV : 台数を資料集成などから想定する。必要な場合は、搬出入用のEVも1台設ける。
・階段 : 避難階段として区画された直通階段を2つ以上設けること。
建築設計論2・同演習 (6セメスター)
Creators Village
課題内容
横浜市の中心市街地である関内・関外地区は、港の発展と共に、政治・経済の表舞台として都市機能が集積し、都市が形成されてきた。その歴史的記憶は、都市遺産として都市の中に残されている。しかし、戦災によって都市構造を大きく変化させ、戦災復興時1950年~60年の都市計画において、欧米の街区型都市構造を取り入れ、街区を縁取るように建てられた4階建て程度の共同住宅群が200棟以上も残されている。建設から50年程度を経て、再開発されたビルもあるが、小規模で複雑な所有形態などの要因から放置され、空室化や老朽化が進み、そのまま取り残されているビルも多い。本来、優良な都市のストックとなるべき建築群が、現在では都心の衰退を招く要因ともなっている。現状の防火帯建築群を新たな都市の活性化に寄与できるように、スクラップアンドビルドによらない、10年から20年の短期間に活用する方法の提案を求める。
この課題は、対象敷地を「吉田町」、「馬車道」、「弁天通り」の所と。3ヵ所としているので、その中の1つに対して街区と周辺の街の特徴、防火帯建築に対しての調査・分析を行い、課題となっている下記のプログラムを前提とした提案を求める。提案内容には、単体の建築の再生だけでなく、その建築を中心とした街区全体や周辺の街へも波及する都市デザインの要素も含むものとする。この課題では3人のグループで行うために、メンバー相互のモチベーションの調整や役割分担など充分なコミュニケーションを行いながら提案をまとめプレゼンテーションすることを求める。
1:グループサーべイ
街の特徴・街区の調査分析をパネルにまとめて発表する
2:防火帯建築再生提案
対象の街区の防火帯建築に対してクリエーターズ・ビレッジ
敷地条件
◇敷地A 馬車道
敷地面積:886.3㎡
建築面積:679.91㎡
用途地域:商業地域
建 蔽 率:80%
容 積 率:700%
◇敷地B 弁天通り
敷地面積:919.8㎡
建築面積:830.58㎡(公社)、1019.03㎡(3丁目)
用途地域:商業地域
建 蔽 率:80%
容 積 率:600%
◇敷地C 吉田町
敷地面積:953㎡
建築面積:239.96㎡(第1)、369.90㎡(第2)
用途地域:商業地域
建 蔽 率:80%
容 積 率:600%
設計条件
・構 造:鉄筋コンクリート造の建物である。増築・改築は自由な構造とする。
・規 模:それぞれの敷地の建築面積を基準として増築・減築を行う。
・必要諸室:下記を参考としますが、適宜提案しても可とする。
a.公開ギャラリー・ホール
b.ロビー
c.図書コーナー
d.会議室
e.クリエーターズ・ハウス(工房+住居)
f.受付・管理事務室
g.共同浴室(各戸に設けても良い)
h.その他
Hall & Library Complex in Yokohama
課題内容
関内・関外地区の防火帯建築群のひとつである弁天通りの街区全体に対して文化複合施設を提案する。隣接する敷地には、横浜メディア・ビジネスセンター・TV神奈川が入っている再開発のビルが建っており、この施設との連携も視野に入れて、ビジネス街における文化発信と交流機能を担った文化複合施設を計画する。
この地区は、ビジネス街で平日はビジネス活動が盛んで賑わいがあるが、土日や休日になると賑わいは失われている。提案に当たっては周囲の都市の文脈(コンテクスト)を読み込み、既存の2軒の防火帯建築群を残し、コンバージョンして都市空間としての広場を含む提案とすること。
敷地及び周辺条件
敷 地 面 積 : 3,936㎡
述 床 面 積 : 約7,000㎡
用 途 地 域 : 商業地域
建 蔽 率 : 80%
容 積 率 : 600%
そ の 他 : 防火地域、第7種高度地区(高さ31m以下)、道路斜線 1:1.5
建築条件
1・ホール施設
・ホール(300~400席 音響に配慮した本格的なホール、多目的な利用が可能)
・ホワイエ
・楽屋(大きさの異なる楽屋を複数)
・リハーサル室(上演のリハーサルを主用途とし、舞台の大きさを確保)
・練習室(20㎡程度と40㎡程度のものを複数)
2・図書館(コミュニティとビジネスに対応 1500㎡程度)
・開架書庫
・読書ラウンジなど
3・交流施設
・ロビー
・カフェ・レストラン
・多目的スペース(展示や会議・ミニコンサートなど多目的な利用)
・広場(外部)
4・管理施設
・事務室
・駐車場(各施設の搬入用と身障者用のみ、来客用は近隣の駐車場を利用)
4・その他
・各施設に必要なトイレ、倉庫など
・機械室