2011年度設計系授業参考作品

2011年度に行われた1年生から4年生までの設計系授業の参考作品を課題別に紹介します

建築デザイン2・同演習(秋・水3−4・2セメスター)

◎渡邉研司・加藤仁美・十亀昭人・秋吉正雄・今村壽博・金子哲也・白子秀隆・田島芳竹・富永哲史・彦根 明・平本和也・森昌樹

森に居場所をつくる 【TREE HOUSE 2012】

秋学期の建築デザイン2・同演習を通じて学んできたことの集大成として、初めて「機能」を持つ建築空間を考え、デザインする課題である。芸術作品の造形と異なり、人間とかかわる機能をもつためには制約がある。自分なりに求められる機能を分析しながら、自由な発想で条件にあった具体的な空間を構築し、表現することが求められる。また、思考作業を通じて、新たに自分の「建築」に取り組むスタンスを再確認し、今後の設計への足がかりを習得することを目的とする。

 

3・11の震災以降、人は自然に対して「対立」から「共生」へ考えを改め、新たな関係性を再構築していく必要があると、誰しもが少なからず感じたであろう。そんな自然の源でもある森は、我々人間も含め、あらゆる生物に対して大事な役割を果たしていることは言うまでもない。そんな森に居場所をつくり、共生、共存することで、自然との新たな関係性を発見してもらいたい。

スタディーモデルとして、我が大学敷地内のログハウス横の林で計画する。その後、できればその場で校内展示として建設し、さらにその後は可能であれば東北被災地への移設も視野に入れ、進めていきたい。

規模は屋根付の面積を10㎡以下とし、2人~3人程度が寝られるスペースを確保する。材料は自由であるが、セルフビルドで組み立てるため、現実的な選定が必要であると同時に、皆の自由な発想を期待している。

建築デザイン3・同演習(春・木3−4・3セメスター)

◎杉本洋文・山崎俊裕・小沢朝江・十亀昭人・木島千嘉・岸本和彦・白子秀隆・田島芳竹・富永哲史・彦根明・堀井義博・森昌樹

3.11 gallery  -駅前に建つ小さなギャラリー-

2011年3月11日、東北地方の太平洋側を中心に、かつて経験のない地震災害が発生した。それに対し本学でも「3.11生活復興支援プロジェクト」を立ち上げ、様々な問題解決に向けて活動を開始している。

このような支援活動は、学内だけではなく、行政をはじめ市民の人々の協力なしには実現できないことから、広報活動が最重要になる。多くの人々に知ってもらい、深く意見交換し、協力することで、実現に向けて進めていくことができる。そこで、東海大学駅前商店街の一角に、本学が行っている「3.11生活復興支援プロジェクト」の展示や交流を目的としたギャラリーを計画してもらいたい。

そこは、活動報告を行う展示空間であると同時に、コミュニケーションの場として多目的に使える空間が必要となる。よって、一般の学生や市民の方々が、気軽に利用できる空間として機能してもらいたい。時には、災害地に行かなくてもできる支援の方法を考える等の意見交換会が催されることになるだろう。

展示は、写真や図面のパネルや模型等の屋内展示物のほか、屋外展示物として、実際建設する仮設住宅(どんぐりハウス)を建設展示することを含めた計画とする。よって、屋内外で利用できるスペースを確保してもらいたい。

このギャラリーは、敷地全体を使った計画とすることと、自然光の取り入れ方に工夫を凝らした展示空間の提案をしてほしい。

 

■敷地条件

敷地面積 335.16

 

■設計条件

要求面積 約50(±10)

最高高さ 10m以下

構造・階数 自由(ただし地階は不可)

 

■要求諸室

ギャラリースペース

ワークショップ

事務室(2名程度)

トイレ+洗面(適宜)

共働き夫婦のための海辺のセカンドハウス

現代の我々は、自己のキャパシティを遥かに超えた情報量に翻弄された生活を過ごしている。高性能な情報機器が年々開発されてはいるが、一向にその生活は改善されない。かつて、ひとが所有していたゆとりある時間は、もはや現代社会においては獲得することが困難な状況である。

こちらの都合とは関係なく、日常が非日常空間に進入してきてしまい、かつて別荘が担っていた日常に対する非日常といった図式は維持し難い社会になっている。そこで、課題では、日常生活の疲れを癒す非日常空間であるとともに、ウィークデイにやり残した仕事もこなせるSOHO的な意味合いをもった場を付加し、日常と非日常が同時存在した現代型セカンドハウスを計画してもらいたい。

住まい手は、日常を都内で生活する30代服飾デザイナーと作家の夫婦とする。主婦は、常に仕事に追われ、日常と非日常の線引きが困難な日々を過ごしている。そんな彼らが、海辺の土地を購入し、二人の生活に適したセカンドハウスを希望する。都内では別々の場所に仕事場を構える二人だが、セカンドハウスには各々の仕事スペースを望んでいる。作家は、近隣に位置する漁港で新鮮な魚を調達し、自ら調理した料理を友人や家族に振舞い、服飾デザイナーは、仕事仲間に声をかけ、自然環境をテーマにしたワークショップを開くなどonoffの両立が可能なスペースを求めている。

 

■敷地条件

 海に面して緩やかに傾斜している

■設計条件

 敷地面積 200㎡

 延床面積 120㎡程度

 絶対高さ 15m以下(道路面から)

 構造・階数 自由

 敷地には駐車スペース2台を確保する

 友人(5~6人)を招くことのできるスペース

 料理の可能なスペース及び設備

 静かな環境でモノつくりに没頭できるアトリエ(書斎)

■要求諸室

 交流スペース

 ワークスペース

 寝室+ゲストルーム

 水廻り・その他

 屋外スペースは面積に含まない

『繋がる家@自由が丘』

東日本大震災から3ヶ月が経過した。東京では地震による直接の被害はそれほどないものの、首都圏の交通機関はストップし、多くの帰宅難民が生まれ、脆弱な都市機能であることを露呈した。また、テレビやネット上には様々な情報が飛び交い、一部では情報パニックとも言える現象も発生した。今回の震災により、いままで当たり前に生活してきた状況や、人々の価値観に変化が現れている。都市の住まいにおいては、地域レベルで人と人がもっと顔を合わせて情報交換するなど、身近な人との繋がり、コミュニティを再構築することが重要になってくるのではないか。そこで、本課題は都心で生活する家族のための住宅を設計する。

敷地は自由が丘の商店街に面した場所で、周囲には高級ブランドショップ、洋菓子店、洒落た雑貨屋などが建ち並ぶ。一方で、終戦間もない頃に自然発生的に成り立った小さな個人商店の集合体である自由が丘デパート、ひかり街も隣接している。向かいには熊野神社があり、夏祭り時期には大勢の人が訪れる。施主は、夫、妻、4歳の子供と妻の母の4人家族で、夫婦でカフェを営んでいる。妻と母親は古くからこの場所に住んでおり、友人や商店街の人たちが頻繁に訪れる。最小限のプライバシーは確保した上で、時にはカフェと住まいを一体で利用して多くの客を招き入れることのできる計画が望ましい。また、カフェとは別に店舗の出店を予定している。

周囲の小さなショップのスケールを配慮した上で、人と場所とが繋がる魅力的な年の住まいを提案して欲しい。

 

■敷地条件

・所在地 東京都目黒区

・敷地面積 225.5㎡

・建蔽率 80%

・容積率 200%

■設計条件

・要求面積 210㎡

・絶対高さ 10m以下

・構造および階数は自由

■家族構成

・夫35歳 妻34歳 子4歳 母65歳

■要求諸室

・子世帯の住居スペース 100㎡

・母親世帯の住居スペース 30㎡

・カフェ 40㎡

・店舗スペース 40㎡

※各自、店舗の業種を自由に設定すること。

※敷地内にオープンカフェのスペースを確保する。

※母親の住居スペースはミニキッチン、トイレを設置し、バスルームは子世帯と兼用でもよい。

※敷地内、周辺地盤の高低差は無いものとする。

建築デザイン4・同演習(秋・木3−4・4セメスター)

◎吉松秀樹・山崎俊裕・渡邉研司・木島千嘉・岸本和彦・武井誠・納谷新・更田邦彦・古見演良・堀井義博

Addition to subtracted SHIMOKITA                 引き算された街・下北沢に、一時的に建築装置を

デザインという行為は、「整理する」という作業から始まる。それは、条件を「整える」ことだったり、バラバラな要素を「揃える」ことだったりする。初期段階では、ほとんどそれでデザインの方向性が決まってしまうことさえある。

「整え」たり「揃える」ために、何かを「削除」しなければならないこともあるし、何かを「付加」する必要が発生することもある。

デザインは、基本的にこの「引き算」と「足し算」のバランスで成立している。これは、インテリアのような「場」や建築のような「モノ」をデザインする場合に限らず、都市やランドスケープをデザインする場合も同じである。デザインとは、「モノ」を作ることが目的なのではなく、「場」や「経験」や「生活」を描くことが目的であるからだ。

 

この課題は、小田急線・井の頭線下北沢駅周辺(通称シモキタ)を対象としている。ここ数年、シモキタは、小田急線の地下化工事に伴い、変化し続けている。工事のための空き地もあるし、駅前計画や道路計画のためにヴォイドになっている場所や店も多い。いわば都市的に引き算されている街だといえる。

この下北沢をサーヴェイ(調査)し、対象エリアの中から、引き算された場所(隙間や空地)を選び出し、一時的に建築装置を「付加」する。だが、付加するものは公園や自転車置き場ではない。街の清掃や都市改造をもとめているわけではない。

 

サーヴェイ→分析→問題意識→提案といったプロセスを、自らの体験をもとに提案することを期待している。

 

■敷地条件

 下北沢駅周辺に各自場所を設定する。

■建築条件

 建築的・都市的提案であること。

■建築規模

 延床面積は特に規定しない。

■施設内容

 周辺環境との関わりに配慮した提案であること。

 新しいアクティビティーを発生させるために必要な機能を含むこと。

Shimokita Mediatheque                       下北沢らしい、下北沢のための「これからの図書館」

建築の設計において、public(公共)は欠かせない概念である。社会生活で無意識に使用している施設全てに、public(公共)は存在している。この課題は、第1課題でサーベイをした下北沢の住宅と商業のエッジに位置する敷地を選び、下北沢らしい、下北沢のための図書館を考えることで、これからの公共の意味を問うものである。

現在の本は、文化の根元的メディアとして数百年の歴史を持っている。しかし、この伝統的メディアは、iPhoneiPadなどの普及に伴って、デジタルメディアに急速に取って代わられつつある。現在の本が全てデジタルメディアにとって代わられると考える専門家は少ないが、その関係性は大きく変化していくだろう。最近では、デジタルメディアに対して、プリントメディアという言葉が使われるようになり、その流通システムも、アマゾン(amazon.com)iTuneに代表されるように、急激な変化をとげている。本屋も、最近のTSUTAYAのように、様々な機能・役割が付加されたメディアストアとして、かわりつつある。図書館もまた、これまでの図書管理を中心としたサービスから、新しい公共施設としての使命を考えなくてはならない岐路にあるといってよい。

以上の様な現状をふまえた上で、様々な文化の街である下北沢に、新しいメディア・サービス施設である下北沢メディアテークを提案し、これからのメディアと都市生活の関係を記述して欲しい。

 

メディアテーク(図書スペース・展示スペース)以外に、ワークショップや講演などに使われる小ホール(100150)やカフェなどを設けること。大きな施設ではないので、演劇・音楽・ファッション・食などテーマを選び、下北沢らしい専門的なメディアテークとしてもよい。

 

■敷地条件

 東京都世田谷区下北沢 1,034㎡

 近隣商業地域

建ぺい率 80%

容積率  300%

 最高高さ 22m

■建築条件

 構造自由・階数自由・地下可能

■建築規模

 1,500㎡程度

■施設内容

 メディアテーク(図書+展示・情報+メディア)

 小ホール機能(100~150人)

 管理機能(事務室、従業員控室、倉庫、トイレ)

 搬出入・荷さばき室、機械室(延べ床面積の7%)

 駐車スペースは設けなくとも良いが、メンテナンス、搬入などのサービス経路を考慮する。管理、サービスのスペースを確保し、周辺環境も含めた提案を必ず行うこと。

カイダンとイエ

雨や風、暑さ、寒さから逃れるシェルターが、建築の原点である。気候の変化から身を守り、外敵からも身を守る。その答えとして、建築の屋根や壁は存在している。壁や窓や屋根によって、外部と内部の領域を分けることで、「建築」は成立しているのだ。つまり、建築を設計する行為とは、「領域」を決定する行為であると、言い換えられるだろう。

 

そう考えると、日頃なにげなく使っている「階段」が、面白い建築的要素であることに気がつくかもしれない。複数の領域をつなぐ装置として「階段」は存在し、「階段」という機能によって多層建築は初めて成立する。そういう理由なのか、上下の領域がつながれた場所に建築的な魅力を見いだす建築家は多い。吹き抜けや天井高のある空間に魅力を感じるのが顕著な例であり、「階段」もまた建築家の腕の振るいどころである。

 

同時に、「階段」を正しく設計できることは、建築を作り出すために必要な知識である。トイレ・風呂・キッチンなどの水回りと階段が設計できれば、住宅はほとんど設計できているのかもしれない。

 

この課題は、「階段」という建築の部分から、建築全体を考えていく行為を目的とするものである。建築にとって「階段」とは何か?「階段の魅力」とは何か?そして「魅力的な階段」とは何か?を考えることによって、上下の「領域」が、魅力的な「カイダン」でつながった「イエ」を考えて欲しい。

 

■敷地

 自由

■設計条件

 ・魅力的な階段をもつ小住宅であること

 ・階数  :2層以上(階段でつながれていること)

 ・構造形式:自由

 ・床面積 :60㎡程度

 ・必要諸室:一人の人間のために使われる住空間であること

       住宅として成立する機能を満たしていること(他に依存しない)

建築設計論1・同演習(春・月3−4・5セメスター)

◎吉松秀樹・武井誠・竹内申一・蜂屋景二・古見演良・柳澤潤

Disaster Hub Elementary School, Mejiro               -災害拠点としての小学校-

阪神大震災(1995)から16年後、僕達は東日本大震災に直面している。わずか20年の間に西日本と東日本が震災の被害にあった。強大な自然の力を見せつけられる度に、人間はなんて無力で、想像力が及ばないのだろうと強く思う。

だが、僕達はその度に立ち上がってきた。神戸は想像以上のスピードで復興をし、日本中の行政は阪神大震災で多くのことを学んだ。その経験は、今回の震災でも生かされている。これだけ広範囲に震災が起きて、大混乱が起きないことを賞賛する声は海外に多い。勿論、津波や原発を含め、僕達の受けたダメージは計りしれないほど大きく、これから経済的なダメージも表面化していくだろう。建築や都市を学ぶ者として、今、何を考えなくてはならないのか?この課題で、君たちと一緒に考えていきたいと思う。

学校建築は、この30年ほどの間に様変わりし、片廊下に教室が並ぶ従来型から、開放的なオープンスクール型まで、様々な学校がつくられた。こうした学校建築の多様化は、教育や学校のあり方が模索され続けてきた結果である。一方、学校を取り巻く社会環境も大きく変わり、より地域に開放された学校が求められ、生涯学習の場や、子育て支援のための設備が設けられるようになった。学校は社会から切り離された教育のためだけの空間ではなく、都市や地域の生活のための公共空間へと変貌している。震災時の避難場所に多くの学校の体育館が使われているように、緊急時における受け皿として小学校は新しい社会的使命を与えられていると言って良い。

小学校という教育のための施設を、都市や社会の側から再考することが、この課題の目的である。どんな空間をつくれば、子供達が生き生きと学び、遊ぶ環境と、社会や街との新しい関係が共存できるだろうか?既存の教育プログラムや学校建築の形式にとらわれることなく、これからの日本にとって必要な、公共施設としての小学校空間を提案してほしい。

 

■設計条件

地域に開かれた、街の核となる災害拠点としての小学校(スクール)を設計する

様々な世代にとっての「場」を提案するにあたって、以下の3つの連続性を意識してほしい。

1・都市コンテクスト(文脈)を読み込み、ランドスケープと建築デザインを行うことによる周辺環境との連続性

2・子供たち・教員・地域住民にとっての平面的・断面的な動線計画を熟慮し、配置された諸機能の連続性

3・建築計画にとどまらず、家具デザインから構造デザインに至る思考の連続性

 

■敷地 東京都豊島区

■敷地面積 8,260

■設計条件

延床面積 4,000㎡程度

構造形式 S造、RC造、SRC造など

必要諸室 下記を基準面積として提案を行うこと(提案に応じて変更してよい)

・普通教室 768㎡(64㎡教室×12室)

・音楽室  128㎡(1室)

・理科室  128㎡(1室)

・家庭科室 128㎡(1室)

・図画工作室128㎡(1室)

・図書室  128㎡(1室)

・校長室  64㎡(1室)

・職員室  128㎡(1室)

・保健室  128㎡(1室)

・共用部  2,400㎡(WS・廊下・トイレなど)

・提案機能 自由(災害拠点として機能させるもの)

※200mトラックや100m直走路などは設けなくても良いが、体育の授業が行えるように考えること。

※体育館やプールは各自の提案による(設けなくてもよい)

Mangatheque Tokyo

現在、日本への観光客は世界で33位で、1位のフランスの年間7400万人のわずか1/10。アジアでも8位で、シンガポールよりも少ない数に甘んじている。(2009年)アニメやマンガ・ゲームなど新しい日本文化への興味も増加しており、観光立国としての素地は固まりつつあるが、インフォメーションセンターや日本文化を発信する観光拠点などの整備は遅れていると言わざるを得ない。

こういった時代背景を受けて、マンガ文化を発信する国際文化交流拠点「Mangatheque Tokyo(以下、マンガテーク)を青山に計画する課題である。マンガテークは、マンガとビブリオテーク(図書館・書庫)の造語であるが、マンガ図書館という意味を超えて、マンガやアニメなどのファンの知的好奇心を充足させる総合的な文化活動拠点と位置づけたい。ここでは、マンガやアニメに関する従来の図書館サービスに加え、資料のデジタル化、ネットワーク化を進め、音響・画像・映像情報なども包括的に扱い、常に最新の情報と場所の提供が行われる。このようなマンガ・アニメの多様な文化的、創造的活動を支援するそのサービス、およびその建築を、「マンガテーク」と呼ぶものとする。

計画に先立って、敷地および周辺の状況、都市的・文化的コンテクストを読み込み、青山が持つ都市的アクティビティを理解してほしい。都心ゆえに敷地はプログラムの内容に比べ小さく、計画建物は垂直方向に伸びざるを得ない。必要な諸機能を垂直に、時に水平に重ねて統合し、都市的なコンテクストを踏まえたマンガ文化の拠点にふさわしい施設・建築空間を創造することを期待している。

計画にあたり、以下の3つの連続性を意識してほしい。

1・ランドスケープと建築の両方をデザインすることによる周辺環境との連続性。都市コンテクスト(文脈)を読み込み、青山の都市アクティビティを理解する

2・平面的・断面的な動線計画を熟慮し、配置された諸機能の連続性。施設全体が魅力的な施設であること。すなわち、エントランスホールやレストラン、さらには垂直動線もが展示や情報スペースであり、積極的な関係をもった提案を行う

3・利用者と展示・情報空間の快適な接し方から、家具デザインから構造デザインに至る思考の連続性。建築のカタチにプログラムをあてはめるのではなく、プログラムを考えることから建築のカタチを作りあげていくことを目標に、スケッチや図面を描いて案を練り上げ、新しい文化施設の在り方を提案する。

 

■敷地 東京都港区

■敷地面積 864.31㎡

■設計条件

 延床面積 5,000㎡前後

  構造形式 自由(S造、RC造、SRC造)

  高さ   地下1~2層、地上8~9層(最高高さ40m)

■必要諸室 下記を基準面積として提案を行うこと。(提案に応じて変更してよい)

 ・情報センター   500㎡(関係図書・アーカイブ・デジタルスタジオ)

 ・映像センター   300㎡(DVD・CDその他+ブース+情報入出力・配信サービス)

 ・企画展示     500㎡(企画展示+一時倉庫)

 ・ショップ・カフェ  300㎡(ミュージアムショップ・カフェ)

 ・ホール      300㎡(200人、講演・作品上映・映画など・AV機能を有する)

 ・収蔵・倉庫     400㎡(搬出入スペース・荷解きスペース・収蔵・補修)

 ・ワークショップ  250㎡(100㎡×1室、50㎡×2室、控室25㎡×2)

 ・管理部門     500㎡(事務・館長室・会議・整理・製本)

 ・研究室      100㎡(25㎡×4室)

 ・機械室      500㎡(空調+電気)

 ・共用部      ロビー・ホワイエ・通路・休憩ラウンジ・階段・便所・屋外イベントスペース等

 ・その他      避難階段として区画された2つ以上の直通階段・客用EV(必要台数)+搬出入EV

駐車場は敷地外とするが、搬出入動線や駐車スペースは確保

建築設計論2・同演習(秋・月3−4・6セメスター)

◎杉本洋文・岩崎克也・佐々木龍郎・山縣洋

集住の新たなかたち

この課題は、私たちが住まうところを得ると同時に、集まって住まうことを、根本から考え直す課題である。従って、今の自分の中にあるこれまでの考え方を捨て、新たな考え方の上にたって建築を設計することによって、新たな集住のかたちを提案してもらうことを課題の目標としている。

まず、私たちは自分のライフスタイルを実現させる住まい方を考えている。そして、様々なスタイルの住宅建築が多くの建築家によって提案されてきた。集住に対しては、これまで様々な提案はされてきたが、画一的なマンションや集合住宅が圧倒的に存在して、決して最良の解を示していないのが現状で、私たちには大きな課題として投げかけられている。そこで、私たちが集まって住む意味を改めて考え直し、新たな時代への提案を求める。

次に、この課題はグループ課題とする。建築の設計は一人で行うことは少なく、様々な専門家と協働してプロジェクトを推進する。そこで、この課題では、グループで取組み、チームワークを発揮して、課題内容の把握に始まり、調査から最終提案までを行い、一連の作業のスケジュール管理からプロジェクトマネージメント等も協働で進めることを重要視する。

 

■敷地条件

 東京都品川区

 敷地面積 1,500㎡

 容積率  200%

東海大学クリエイティブデザインセンター

東海大学は大学規模・専門性の多様さにおいて日本有数の大学であり、また、多くの留学生を受け入れ、海外で活躍するOBOGも多く、国際性が高い。その大学に相応しい同窓会館の新しい在り方として、国際交流機能を含んだ「東海大学クリエイティブデザインセンター」を設計する。

 

■敷地

 神奈川県秦野市

■建築条件

 構造:自由

 規模:5,000㎡程度

 階数:適宜

 必要諸室:(面積配分は目安であり最終的には各提案者に任せる)

  ・クリエイティブシェアオフィス(1000㎡程度/動線・WC含む)

   -シェアオフィス+共用ミーティングルーム+交流ラウンジ他

   -市民交流拠点として市民工房を設置

  ・スタジオ(1000㎡程度/動線・WC含む)

   -写真撮影、ギャラリーなどの展示・イベント

海外アーティストの短期滞在制作(AIR)他に利用

  ・ブックサービス(1000㎡程度/動線・WC含む)

   -図書館機能、書店機能、簡易出版機能が複合したブックサービス拠点

  ・ホール(1000㎡程度/ホワイエ・動線・WC含む)

   -300席程度の実験劇場

可動席によるさまざまな利用形態

  ・その他(1000㎡程度)

   -カフェ・レストラン

   -同窓会事務機能

   -エントランス等共用機能